不動産登記制度

不動産の物理的状況(どこにあって、どのような不動産なのか)や権利関係(所有者が誰で、どのような権利がついている不動産なのか)を記録・公示する制度のことを、不動産登記制度といいます。

登記記録の構成

不動産登記記録は、物理的状況を公示する表題部と権利関係を公示する権利部に区分して作成されます。さらに権利部は、所有権に関する情報を公示する甲区と所有権以外の権利に関する情報を公示する乙区に区分して作成されます。

登記の必要性

一定の表題部に関する登記は申請が法律上義務づけられています(1か月以内に登記申請をしなければ10万円以下の過料)。これに対して、権利部に関する登記は、そのような法律上の登記申請義務は課せられていません。

しかし、不動産を取得した多くの人は、権利部に関する登記(所有権移転登記)を申請します。なぜなら、この権利部に関する登記をしなければ、第三者に対して「自らが不動産の所有者である」という事実を法律的に主張することができなくなるからです。

それでは、理解を深めるために、次の事例をみてみましょう。

事例
  1. 2020年4月1日、Aは自己所有の土地XをBに1,000万円で売った。BはAに売買代金1,000万円を支払ったが、権利変動の登記申請はおこなっていない。
  2. 2020年4月2日、Aは土地XをCに1,000万円で売った。CはAに売買代金1,000万円を支払い、権利変動の登記申請をAと共同でおこなった。
  3. 2020年4月10日、AとCが共同で申請した登記が完了し、土地Xの登記記録には「2020年4月2日、売買によって所有者がAからCになった旨」が記録された。
この事例では、BはCよりも先にAから土地Xを買い受けていますが、CがBよりも先に権利変動の登記をしているので、BはCに対して「自らが土地Xの所有者である」という事実を法律的に主張することができません。つまり、土地Xの所有者はCとなり、Bは土地Xを手にいれることができなくなるのです。

登記申請者

不動産登記は、当事者本人が申請するのが原則となっています。しかし、多くの場合は、表題部に関する登記を土地家屋調査士が、権利部に関する登記を司法書士が代理して申請しています。

表題部と権利部の比較表

表題部
【記録・公示する情報】
不動産の物理的状況
【申請】
原則義務
【登録免許税】
原則不要
【専門家代理人】
土地家屋調査士
権利部
【記録・公示する情報】
不動産の権利関係
【申請】
任意
【登録免許税】
原則必要
【専門家代理人】
司法書士